米国人は生魚を食べない!アメリカの寿司ブームを作った男の誤算
寿司はいまや、世界中どこにいても見かける食べ物になりました。また寿司以外の日本食も、定番料理から通受けするものまで幅広く人気を得ています。しかし今から遡ること40年ほど前、日本食は海外在住の邦人以外には見向きもされない時代があったのです。
1887年には存在していた!アメリカ最初の日本食レストラン
文献によるとアメリカ初の日本食レストランは、当時日系移民が増加していたカリフォルニア・サンフランシスコで1887年にオープンしました。またアメリカ初の寿司屋として記録に残っているのは、1906年にロサンゼルスのリトル・トーキョーにオープンした店と言われています。しかし太平洋戦争勃発、多くの日系移民は強制収容所に送られ日本人街はさびれ、日本食レストランも壊滅状態に。
戦後の最初の有名店は鉄板焼き
その後戦後から1960年代にかけて、アメリカの西海岸を中心に都市部で新たに日本食レストランが増えていきました。そのほとんどは日系人のためにオープンしたものでしたが、そこで出されるすき焼き、照り焼き、天ぷらなどは西洋人にとっても食べやすく、そのエキゾチックな言葉の響きと共に、徐々に人気を博しました。1963年には坂本九の代表曲「上を向いて歩こう」が「SUKIYAKI」というタイトルに変え、全米チャート1位を獲得しています。
しかし「日本食」が一般の人達にも広まったのは、1964年、ロッキー青木が鉄板焼きレストラン「Benihana」をオープンしてからです。客の前でパフォーマンスをしながら調理するスタイルがうけ、全米で店舗を拡大し、現在でも70店舗ほど営業しています。
ちなみに日本橋の老舗洋食屋「紅花」はロッキー青木の両親が太平洋戦争の最中、お汁粉やとして始めたものが前身です。しかし鉄板焼きは洋食のカテゴリーにあたるため、初めて「日本食」の人気に火を付けたのはやはり寿司であると言えます。
しかし「日本食」が一般の人達にも広まったのは、1964年、ロッキー青木が鉄板焼きレストラン「Benihana」をオープンしてからです。客の前でパフォーマンスをしながら調理するスタイルがうけ、全米で店舗を拡大し、現在でも70店舗ほど営業しています。
ちなみに日本橋の老舗洋食屋「紅花」はロッキー青木の両親が太平洋戦争の最中、お汁粉やとして始めたものが前身です。しかし鉄板焼きは洋食のカテゴリーにあたるため、初めて「日本食」の人気に火を付けたのはやはり寿司であると言えます。
寿司ブームの先駆けとなったカウンター寿司屋
60年代当時、アメリカ在住のビジネスマン金井紀年はアメリカで何が売れるか模索をし、ある年アメリカ人の実業家ハリー・ゴールドバーグ氏を連れてアジアを回り、旅の最後に向かった日本で寿司屋に行きました。寿司をいたく気に入ったゴールドバーグ氏は毎日のように店に通いつめ、アメリカに帰った後ビジネスチャンスは寿司にある、と金井氏を説得します。
最初はアメリカ人が生魚を食べるわけがない、と考えた金井氏でしたが、誰にも真似できない分野だからこそ成功の可能性が高いこと、若者の間でアメリカの古い文化慣習に反発し新しい流行を「東洋」に求める波がきていることを感じ、寿司ビジネスに賭ける事にしました。
そして1966年、ロサンゼルスのリトルトーキョーにあった日本食レストラン「川福」のオーナーを説得し、日本から寿司職人を連れてきて「川福」の中に7席の寿司バーをオープンさせました。当初はまだまだ生魚に抵抗がある人が多く、顧客の多くは日本人でした。
しかし1970年、初めてリトルトーキョーの外に「Osho」という寿司バーがオープンし、20世紀フォックススタジオの隣にあったことでハリウッドの俳優たちが通うようになり、また時代の変化と共により健康な食への関心から寿司への人気が一気に加速したのです。
こうして80年代の都市部では映画俳優や歌手、弁護士、医者などの高所得者層の間で日本食レストランで寿司を食べることが先端的ライフスタイルとして定着したのでした。
最初はアメリカ人が生魚を食べるわけがない、と考えた金井氏でしたが、誰にも真似できない分野だからこそ成功の可能性が高いこと、若者の間でアメリカの古い文化慣習に反発し新しい流行を「東洋」に求める波がきていることを感じ、寿司ビジネスに賭ける事にしました。
そして1966年、ロサンゼルスのリトルトーキョーにあった日本食レストラン「川福」のオーナーを説得し、日本から寿司職人を連れてきて「川福」の中に7席の寿司バーをオープンさせました。当初はまだまだ生魚に抵抗がある人が多く、顧客の多くは日本人でした。
しかし1970年、初めてリトルトーキョーの外に「Osho」という寿司バーがオープンし、20世紀フォックススタジオの隣にあったことでハリウッドの俳優たちが通うようになり、また時代の変化と共により健康な食への関心から寿司への人気が一気に加速したのです。
こうして80年代の都市部では映画俳優や歌手、弁護士、医者などの高所得者層の間で日本食レストランで寿司を食べることが先端的ライフスタイルとして定着したのでした。
カリフォルニアロールの誕生とアメリカ生まれのスシ
海外における不動の定番、カリフォルニアロールはリトルトーキョーの寿司バーで寿司職人真下一郎が考案したと言われています。マグロの代わりに外国人に受け入れやすいカニやアボカド、マヨネーズを使い巻き寿司にしたところまたたく間にアメリカ人の間で人気に火がつきました。また、真の発明は、誰によるものかははっきりしていませんが、カーボン紙のようだと敬遠されているのを見て海苔が見えないようにシャリを外側にして裏巻きにした事でしょう。
カリフォルニアロールの人気を受け、あちこちの寿司バーで様々なオリジナルロール寿司が考案され、80年代以降日本にも逆輸入されました。クリームチーズが入ったフィラデルフィアロール、マグロにスパイシーなソースを絡めて巻いたスパイシーツナロールなど、これらは現在に至るまで圧倒的な人気を誇り、また寿司を初めて食べる人たちへの入り口として大事な役割を果たしています。
ハリウッド映画でも小道具に
寿司はその当時、イケてる人たちのトレンド食、という位置づけであったのでハリウッド映画でも象徴的に使われています。1987年の「ウォール街」では主人公がゴージャスな自宅でガールフレンドに、おもちゃのような手動寿司マシーンを使ってシャリを丸め、生魚をのせて寿司を作っている場面があります。
また1985年の青春映画「ブレックファストクラブ」では補習を受けている女子高校生の一人が、ランチ時にカバンから醤油さしとパックされた握り寿司を取り出し、寿司ゲタにのせて食べます。全米のティーンがあれを見て「(なんだかわからないけど)おしゃれでクール!」となったに違いありません。同じ頃日本にいる人達は「学校の弁当に寿司!!!???」となっていましたが。
参照文献
加藤裕子(2002)『寿司、プリーズ!』㈱集英社
石毛直道,小山修三,山口昌伴、栄久庵祥二(1985)『ロスアンジェルスの日本料理店』㈱ドメス出版
海外の日本食の歴史②寿司ブームの定着と世界一有名な日本人シェフ「NOBU」の快進撃
海外の日本食の歴史③すきやばし次郎のドキュメント映画が寿司の本物志向を加速させた
カリフォルニアロールの人気を受け、あちこちの寿司バーで様々なオリジナルロール寿司が考案され、80年代以降日本にも逆輸入されました。クリームチーズが入ったフィラデルフィアロール、マグロにスパイシーなソースを絡めて巻いたスパイシーツナロールなど、これらは現在に至るまで圧倒的な人気を誇り、また寿司を初めて食べる人たちへの入り口として大事な役割を果たしています。
ハリウッド映画でも小道具に
寿司はその当時、イケてる人たちのトレンド食、という位置づけであったのでハリウッド映画でも象徴的に使われています。1987年の「ウォール街」では主人公がゴージャスな自宅でガールフレンドに、おもちゃのような手動寿司マシーンを使ってシャリを丸め、生魚をのせて寿司を作っている場面があります。
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